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介護職必見の緊急時対応マニュアル!対応手順や救急車要請の基準を解説
介護現場で働くみなさんは、急変時の対応について把握しているでしょうか。それぞれの施設でマニュアルが用意されていますが、慣れていないと緊張から慌ててしまうこともあります。
また介護はシフト制の仕事なので、時間帯によっては看護師が不在です。介護スタッフのみで利用者のケアにあたる機会があるので、急変時の対応を理解しておく必要があります。
NGとなる急変時の対応についてもお伝えしますので、最後までご覧ください。
介護職が緊急時対応マニュアルを理解すべき理由
介護の現場では、利用者の体調が急変することが珍しくありません。その際、現場にいる介護職員が迅速かつ的確に対応できるかどうかが、利用者の命や予後に大きく関わります。
あらかじめ手順を理解し、繰り返し確認しておくことで、実際の場面で迷わず行動できます。また、緊急時の対応はチームプレーで進めることも多いため、共通認識を持つことは連携の質を高めることにもつながります。
万が一の際に自信をもって動けるよう、日頃からマニュアルに目を通しておくことが重要です。
多くの介護施設で緊急時対応を行っている

実際に、介護現場ではどの程度緊急時対応を行なっているのでしょうか。こちらでは、日本医療労働組合連合の介護施設夜勤実態調査を基に、夜間の緊急時対応に関する実態についてご紹介します。
全体の31%の施設が夜間緊急時対応あり
施設業態別で見ると、特別養護老人ホームが50%、介護老人保健施設が42.2%と高い割合で夜間の緊急時対応を行なっています。利用者は昼間に体調の変化を起こす場合もありますが、昼間は比較的スタッフの人数が多いため対応する人材を確保しやすいです。
夜間の場合は昼間よりも圧倒的に人員が少ないため、緊急時対応を少人数で行わなければなりません。なかには、夜勤を職員が1人で行っているという介護施設も存在します。
非正規職員も夜勤が多く、緊急時対応を行う機会がある
介護施設で夜勤を行う職員は、正社員だけではありません。多くのパートスタッフやアルバイトスタッフなどの非正規職員も夜勤を行なっています。
正社員以外の職員も2交代制や3交代制といったシフト制によって夜勤を含めた勤務を行なっています。介護現場では雇用形態にかかわらず緊急時対応を行う機会があると言えます。
介護職が知っておくべき緊急時対応を行うときの心構え
緊急時に冷静な対応を行うためには、事前の心構えが非常に重要です。なぜなら、現場では一瞬の判断ミスが大きな事故につながる可能性があるからです。
まず大切なのは、以下の3点です。
- 慌てない
- 1人で判断しない
- 必ず報告・連絡を取る
緊急時は誰しも焦ってしまいますが、深呼吸して状況を整理し、確認・連絡・記録という基本に立ち返ることが大切です。また、利用者の命を預かっているという責任感を持ちつつ、自分一人で抱え込まないよう、チームでの対応を常に意識しましょう。
こうした心構えを普段から意識しておくことで、実際の急変時にも落ち着いて的確な行動が取れるようになります。
入居者が急変したときに介護スタッフが取るべき緊急時対応の流れ

入居者の体調が急変したときに、介護スタッフがどのように対応すれば良いのかご紹介します。
名前を呼び、反応の有無を確認する
入居者の体調が急変したときには、まず名前を呼び反応をするかどうかを確認します。このときの反応の有無によって、次に行う対応が変化します。
最初に行う対応が後々の回復に大きく影響するため、落ち着いて対応することが大事です。
名前と一緒に、「大丈夫ですか?」「分かりますか?」と言って意識を確認しましょう。
反応がある場合:応援を呼び、体制を整え様子を見守る
声かけに対して利用者から反応がある場合は、他のスタッフに応援を求め、対象者の体制を整えます。急変する場合もあるため、その場は離れずに近くのスタッフに看護師や医師を呼んでもらいましょう。
急に体調が変化することもあり、緊張しますが、冷静な行動が大切です。1人で判断しようとはせず、スタッフと協力してください。
反応がない場合:意識レベルを確認し、救急処置を行う
反応がない場合は、意識レベルを確認してから緊急処置を行いつつ、救急車の要請を依頼します。意識レベルを確認する際は、腕や手を軽くつまんで反応を確かめましょう。
刺激を与えても反応がない場合は症状が重度なので、早急に救急搬送する必要があります。救急車を要請する際には、現状を的確に伝えることが大切です。救急隊には以下の内容を聞かれます。
- 利用者の個人情報
- 急変するまでの様子
- 現在のバイタル
- 現在の意識の状態
利用者の名前や年齢、既往歴などを確認されるので、救急に連絡する際は、介護計画書を用意しておくとスムーズに受け答えができます。意識がなかったり呼吸や脈拍が低下していたりする場合は、救急隊が到着するまで介護スタッフが心肺蘇生をします。
施設内に備えているAEDを用いるので、事前に使い方や設置場所を把握していることが望ましいです。
利用者の家族にも連絡をする
緊急時対応を行うにあたって、施設利用者の家族に連絡をします。
状況によっては病院に搬送されることもあるので、救急車要請と同時に家族にも連絡を入れます。搬送先が決定するまでに時間が掛かることもあるため、搬送先が決まったときにも家族への連絡が必要です。
救急車要請を行わない場合も利用者の家族に、連絡を入れます。いつ、どのような体調の変化、またはケガをしたのかを報告します。
ただし、家族への連絡は現場のスタッフではなく、主任や相談員が行う場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
介護事故報告書を作成する
利用者が事故や体調不良により急変が起きた場合は、介護事故報告書を作成します。介護事故報告書とは、介護サービスを提供した際に発生した事故の詳細を記す書類です。
事故発生の原因や経緯、再発防止策を記載します。各事業所あるいは各自治体によって、報告書に関するフォーマットやフローが定められています。
行政に提出する大事な書類なので、事前に把握しておきましょう。

【状況別】利用者が急変した際の介護スタッフの対応
ここでは状況に合わせた急変時のスタッフの対応を紹介します。
転倒をした場合
転倒や転落を発見した場合は、以下の順で対応いたしましょう。
- 利用者の近くへ行き、声かけを行う
- 事故が起きた場所や時間を把握しておく
- バイタル測定をする
- 全身チェックを行う
- 状況に応じて救急要請をする
その場を離れずにピッチを使用したり、近くのスタッフに声かけをしたりして、医師や看護師を呼んでください。応援が到着するまで、利用者への声かけや事故が発生した時間・場所をメモしておくことが重要です。
看護師や医師が到着したら、バイタル測定を行います。骨折の疑いも考えられるので、全身チェックをし、痛みの訴えや腫れがないか確認します。
カイテクでは、介護職として働く方に事故防止で意識していることを聞いてみました。
Q:転倒や事故を防ぐために意識していることは?
A:高齢者の転倒や事故を防ぐために意識していることは、危険予知と声かけです。事故が発生するリスクのある場所では、事前に声かけを行い、危険があることを伝える必要があります。
例えば入浴場の床は濡れやすく、歩いているときに転倒してしまう可能性が高い場所です。入浴場で介助をする際には「滑りやすくなっているのでゆっくり歩きましょう」や「気をつけてくださいね」など利用者に声をかけるようにしています。
そのためにも介助者は、トイレや食堂など施設内それぞれで危険な場所を把握しておくことも大切です。
発熱をした場合
発熱がある場合は、以下のように対応いたしましょう。
- 医師や看護師に連絡をする
- バイタル測定を行う
- クーリングを実施する
- 状況に応じて救急要請をする
発熱がある場合は、医師や看護師に連絡して指示に従ってください。定時にバイタル測定を行い、頭部や脇などにクーリングをするよう指示を受けるでしょう。
自己判断せずに、「発熱くらいだから大丈夫」とせずに、必ず医療職に状況を伝えることが大切です。
嘔吐を発見した場合
嘔吐を発見した場合は、以下のように対応いたしましょう。
- 嘔吐物には触らずに利用者の様子を確認し応援を呼ぶ
- 色や量などを記録する
- 窒息を防ぐために横向きで休んでもらう
- 嘔吐物の対応マニュアルに沿って処理をする
- 状況に応じて救急要請をする
そのため嘔吐物に触れずに、迅速に応援を呼びましょう。応援が到着するまでには、利用者の様子や嘔吐物の色や量を確認します。嘔吐物の処理は、各施設が取り組んでいる対策の手順に従って行います。
入浴時に急変した場合
入浴は利用者の身体に大きな負担がかかるため、急変が起こりやすい場面の1つです。特に高齢者は、入浴中の血圧変動や脱水、ヒートショックにより意識を失うこともあります。
異変に気づいた際は、すぐに入浴を中止し、安全な場所へ移動させるか、浴槽からゆっくり引き上げましょう。その際は一人で対応せず、すぐに他のスタッフを呼んで連携することが大切です。
呼吸や意識の確認後、必要に応じて救急要請や医療職への連絡を行い、状況を正確に記録します。
入浴前にはバイタルチェックや声かけで体調を確認し、異常があれば無理に入浴させない判断も重要です。

救急要請が必要なバイタルのチェックポイント
利用者が急変した際には、必ず血圧と体温、呼吸をチェックします。ここでは、バイタル測定をする際のチェックポイントを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
血圧
血圧の基準値は以下のとおりです。
- 収縮期血圧:140mmHg
- 拡張期血圧:90mmHg
参照:日本高血圧学会
収縮期血圧が100mmHg以下の場合は、医療職に連絡しましょう。再度測定しても変化が見られず、利用者がつらい状態であれば、救急搬送を行います。
体温
平熱には個人差があるため、通常の体温を知っておくことが重要です。普段よりも高い体温であれば、すぐに医療職に連絡しましょう。
体温だけでなく、血圧や呼吸数にも異常が見られれば、救急搬送を行います。熱発の有無は、経過観察をする際の最初の判断基準となります。
利用者の平熱の体温は普段から理解しておくことがおすすめです。
脈拍
脈拍は1分間で60〜100回が正常値なので、60回未満や100回以上だと何らかの病気が疑われます。バイタル測定をして脈拍が高かったり低かったりするだけでは、救急搬送をすることはありません。
しかし、利用者の異変に早く気づくための判断基準となります。
脈拍が異常値だったら、早めに医師や看護師に報告してください。
呼吸
呼吸を計測する際には、パルスオキシメーターと呼ばれる機械を使用します。
SPO2とは動脈血液中の酸素量のことで、「サチュレーション」や「サット」とも呼ばれています。一般的な方がSPO2を測ると99〜96%ですが、呼吸に異常が起こると95%以下になります。
数値が95%以下で呼吸が苦しそうな様子であれば、救急搬送を考える必要があります。
救急車要請が必要な部分別の症状

介護現場で緊急時対応を行うにあたり、救急車要請が必要な場合もあります。どのような症状が見られたときに要請が必要であるのか、体の部分別にご紹介します。
頭
また、急にふらつきを起こし、立てなくなった場合も該当します。くも膜下出血や脳梗塞の症状である可能性も高いです。
同時に、手足の痺れや言葉を発せないなどという症状がある場合はより可能性が高いと言えます。初期動作が遅れてしまうと、後遺症が残る可能性が高くなりますので、ためらわずに要請を行いましょう。
顔
このような症状が見られるとなると、脳や神経に障害が起きている可能性があります。危険な病気が起きている可能性がありますので、すぐに病院へ搬送しなければなりません。
利用者が症状を訴えてきたときや、接していていつもと表情や話し方が違うと感じた場合には、よく観察をし、医療従事者の判断を仰ぎましょう。
胴体
心臓などの臓器に障害が起きていたり、肋骨が骨折してる可能性もあります。意識がなく、呼吸困難を起こしている場合は、救急隊が到着するまでの間、介護スタッフが緊急処置を施します。
各介護施設にはマニュアルが用意してありますので、研修などを受けて緊急処置について学んでおくようにしましょう。
手足
脳の項目で紹介したように、脳の病気によって手足に症状が出ている可能性があります。ただし、手足の痺れは様々な原因によって起きるため、見極めが難しいです。
緊急性が高い手足痺れの特徴として、左右差があったり、急に痺れが起きる、親指側と小指側が同じように痺れるということが挙げられます。このような症状の表れ方をしていると、脳血管障害の恐れがあるため、入院が必要になるでしょう。
早期発見が早期治療に繋がりますので、施設の高齢者は介護スタッフの日頃の観察が重要になります。
その他
また、何かをのどに詰まらせたり、大量出血、範囲の広い火傷、転倒による強い衝撃を受けた場合も該当するため、救急車要請を行います。
意識がはっきりしていない場合は病気の症状である可能性が高いです。介護を行っていると、ケガをしてしまうこともあるため、このように緊急性が高い外傷である場合は119番に電話を掛けましょう。
利用者が急変した際に必要となる備品

利用者の体調が急変した際には、様々な道具が必要となります。利用者に対して安全に対応できるように、いざというときに慌てずに済むように日頃から以下のような備品の場所や在庫をチェックしておきましょう。
こちらでは、緊急時対応に使用する主な備品についてご紹介します。
AED
自動対外式除細動器と呼ばれる医療機器です。心室細動(心臓が痙攣し、血液を流すポンプ機能を失った状態)になった心臓に、電気ショックを与えることで正常なリズムに戻すために使用します。
2004年7月から医療従事者でない一般の方でも使用が可能となりました。今では、病院や介護施設の他にもスポーツジムや空港、駅、学校などの公共施設に設置されています。また、各企業や学校などでAED使用に関する研修や勉強会を実施している機関も多くあります。
介護施設の利用者が、万が一急変し、何らかの原因によって心臓が正常なリズムで脈を打てていない状態にある場合はAEDの使用が必要です。AEDを開くと音声が流れるため、それに沿って対応をしましょう。ただし、AEDの電極パッドは使用期限があり、1回使い捨てです。
いざというときにすぐに使用できるように、定期点検を怠らないようにしましょう。
感染対策グッズ
緊急時対応を行う際は、感染症対策を施すことも重要です。そのため、マスクやゴム手袋、ガウン、ゴーグル、フェイスシールド、ヘッドキャップ、シューズカバーなどの感染対策グッズが必要となります。
このような道具は「PPE(個人用防護具)」とも呼ばれ、医療機関でも多く使用されています。一つひとつの道具がバラバラに収納されていると、いざというときにすぐ着衣することができません。
慌ててしまい、どこにあるかわからないという事態にならないためにも、感染対策グッズとして一つのバッグやカゴなどに収納し、場所の共有を行いましょう。
簡易ベッド
利用者が急に体調の異変を訴え、倒れてしまうこともあります。緊急時に安全な場所で、対応できるよう簡易ベッドを施設で用意しておくと良いでしょう。
簡易ベッドは、様々なタイプがあり折りたたみ式のベッドも販売されています。いつもは折りたたんで収納して置き、必要な時にすぐに設置できるようにしておくと非常に便利です。
福祉用具メーカーのカタログや医療機器のカタログに多く掲載されていますので、ぜひ確認してみてください。
急変時にNGとなる介護スタッフの対応とは?

施設の利用者が急変した際に、NGとなる対応についてご紹介します。
介護スタッフの判断で薬を服用させる
「痛みを訴えているから痛み止めを服用すれば大丈夫だろう」というように、独断することは危険です。大きな病気が隠れている可能性も高く、病気発見が遅れてしまうかもしれません。
本人から「痛いから薬を頂戴」と言われたとしても、服用を勧めることはできませんので注意をしておきましょう。
また万が一、クレームやトラブルにつながってしまった場合は、以下の介護職として働く方の意見を参考にしてみてください。
Q:クレームやトラブルが発生した際、どのように対応しましたか?
A:クレームやトラブルが発生した場合は、まず利用者の安全確保が重要です。怪我の状態や意識の確認を行い、ほかのスタッフに医師や看護師を呼んできてもらいます。
可能であれば、医師や看護師が来る前にバイタル測定や血圧測定、パルスオキシメーターの測定などを行います。事故処理が終了したら、事故報告書を作成し今後の事故対策をしていくのが一連の対応です。
頭を動かしたり体を揺したりする
脳に障害が起きていたり、骨折している場合もありますので、悪化させてしまう可能性もあります。意識確認のために体を強く叩いたり、大きく揺すったりしてはいけません。
焦ってしまう気持ちも理解できますが、意識確認のときには大きな声で呼びかけ、肩をトントンと軽く叩いて反応を見ます。
素手で吐物や血液に触れる
スタッフ自身や施設内に感染症が充満する恐れもあります。感染症対策を充分に行いながら、対応をする必要があります。
マスクや使い捨てゴム手袋なども施設内に常備しておきましょう。また、緊急時にすぐに取り出せるように分かりやすい場所に配置し、全職員が把握しておくことが大事です。
介護スタッフが緊急時対応の不安を取り除く方法

緊急時対応に関するマニュアルや必要な備品などを頭では理解していても、まだ経験が少ない場合不安に感じてしまいますよね。介護スタッフとして携わっていると、利用者の体調の急変は多く遭遇する場面となりますので、ぜひ参考にしてみてください。
介護職員間での引き継ぎで利用者の体調を把握しておく
利用者の体調を全ての介護職員が把握しておくことで、いざというときに適切な対応が行えます。特に、24時間体制で介護サービスを提供している施設は、夜勤・日勤スタッフ間での引き継ぎが重要となります。
自分が勤務している時間帯に起きた利用者の体調・様子の変化を正確に引き継ぎましょう。また、シフトが休みであった翌日も、何か異変は起きなかったか、翌日の様子についてしっかり引き継ぎを受け、把握しておくことが大事です。
引き継ぎの漏れがあると、大きな事故に繋がり兼ねません。緊急時対応への不安を取り除き、利用者が安全に過ごせる環境を整えるためにも引き継ぎを徹底しましょう。
このように介護現場ではチームワークが重要になりますが、チームワークをよくするためには何が大切なのでしょうか。以下は、実際に介護職として働く方に聞いた内容なので、参考になるでしょう。
Q:介護現場のチームワークをよくするために意識していることは?
A:介護現場のチームワークをよくするためには、意見の言いやすい雰囲気を作るように心がけていました。お互いの意見をぶつけ合ってしまうと、衝突を生んでしまいます。
そのため承認や傾聴をして対話を意識することで、チームの皆が意見を言いやすくなると思います。利用者によってよい介護サービスを提供するためにも、ときには議論することも大切です。その際にも相手の意見を否定するような言い方はせず、「伝えてくれてありがとうございます」のようにボジティブな関係を築く必要があります。
看護師と緊急時の対応を事前に確認しておく
緊急時の対応は、看護師と対策を話し合っておきましょう。事前に話し合っておくことで、何か起きても他職種と連携して対応できます。また、介護施設では、時間帯によって看護師がいない場合もあります。
統一したケアを実現するためにも、緊急時の対策を看護師と話し合っておくことは重要です。
研修や勉強会に積極的に参加する
職場内あるいは外部で実施される研修や勉強会に積極的に参加をしましょう。介護現場で働いていると、思いがけない事故や利用者の急変に遭遇する機会があります。
様々な事態に備えて、勉強し続けておくことで、いざというときに現場で活躍できる人材へと成長できます。利用者からの信頼度も高まるでしょう。
高いスキルを持つプロの介護職員として成長するためには、自ら積極的に学べる場へ参加することが大切です。
緊急時対応で使用する備品の場所を全体で共有する
利用者の体調が急変した際に、必要な道具の場所が把握できていないと対応に遅れが生じます。
緊急時対応は、1分1秒が命取りになってしまいます。利用者の安全を守るため、職員が安心して対応できるように日頃から全体で備品の場所を共有しておくことが大事です。
緊急時対応の経験が少ないと、いざというときにパニックになってしまい、何が必要なのかわからなくなってしまうことも想定できます。
全員が必要な備品の場所を共有できていれば、すぐに用意でき、早急な対応が可能となります。
【サービス形態別】介護職の緊急時対応の注意点
緊急時の対応は欠かせないものですが、サービス形態によっても適切な対応や注意点は多少異なります。以下でそれぞれ紹介するので、自身に該当する施設の内容をチェックしてください。
通所介護での緊急時の対応
通所介護では、利用者が施設で日中を過ごすため、急変があった場合には速やかな対応が求められます。通所中の緊急事態には、スタッフの複数名で連携した初期対応が基本です。
- 利用者の意識・呼吸・バイタルを即座に確認
- 看護師または管理者へ連絡、応援を要請
- 必要に応じて救急要請(119番)し、家族に連絡
- 施設のマニュアルに従い、事故報告書を作成
通所施設では医療職が常駐していない場合も多いため、看護師との連携体制やフローチャートによる意思決定支援が重要です。
訪問介護での緊急時の対応
訪問介護では、スタッフが単独で対応するケースが多く、判断力と冷静な行動が求められます。利用者宅での急変時は、状況判断と通報が重要です。
- 安全確保と意識確認
- サ責や事業所にまず電話連絡
- 必要に応じて119番通報(救急車を呼ぶ)
- 利用者家族へ連絡
- 記録・報告を正確に行う
1人で対応するため、「オンコール体制の整備」や「職員への事前研修」が不可欠です。事業所によっては、フローチャートを配布し、職員が即座に行動できるよう備えています。
夜勤帯における緊急時の対応
夜勤帯はスタッフの人数が限られ、緊急時には少人数での迅速な判断と対応が必要です。急変が起きた際のフローを事前に共有し、慌てず行動できる体制を整えておきましょう。
- まずは反応確認と応援要請(インカムやナースコール)
- 看護師が不在ならマニュアルに従い救急要請
- 管理者・家族への連絡
- 他の入居者への配慮も忘れず、冷静な対応を心がける
夜勤者は介護職1〜2名のみで対応するケースが多く、不安を抱える方も少なくありません。備品の位置や救急連絡網の確認を日頃から徹底しておくことが重要です。
緊急対応が不安なら知っておきたい“安心できる職場”の選び方

これから介護業界に就職あるいは転職を検討している方にとって、希望している職場の緊急時対応に関する内容は気になるところではないでしょうか。応募する際や面接時などで以下の部分を事前に確認しておくことで、緊急時対応に関する負担を軽減できます。
こちらでは、就職・転職の際に抑えておきたい緊急時対応に関する内容について3点ご紹介します。
夜勤でも2名以上のスタッフ体制が整っているか
夜間は利用者の急変リスクが高くなる一方で、スタッフ数が減る時間帯でもあります。そんな中で、夜勤中に2名以上の介護職員が常駐している施設は、緊急時の対応が分担できるため安心です。
1人で判断・対応しなければならない環境では、プレッシャーや不安が大きくなり、ミスにつながる可能性もあります。複数名体制であれば、万が一の時も声を掛け合い、連携して行動できるため、冷静な対応がしやすくなります。
求人情報や面接時に夜勤時の人員配置については必ず確認しておきましょう。

夜間でも看護師や医師に連絡・相談できる環境か
夜間に急変が起きた場合、医療的判断が必要になることも多いため、看護師や医師にすぐ連絡できる体制が整っているかどうかは重要なポイントです。オンコール体制がある施設や、医療機関との連携がしっかりしている職場では、介護職がひとりで対応を抱え込まずに済みます。
事前に連絡ルートや連携方法が決まっている施設では、いざという時の安心感が違います。入職前に「夜間の緊急時は誰にどう連絡するのか」を具体的に確認しておくことがおすすめです。
入職後に緊急時対応の研修やOJTがあるか
緊急時の対応は、知識だけでなく「実際の場面で動ける力」が求められます。そのため、入職時にマニュアルの説明だけでなく、シミュレーションやOJT(実務研修)を行っている施設は非常に心強い存在です。
研修がしっかりしている職場では、対応の流れや注意点を具体的に学べるため、自信をもって業務にあたれるようになります。配属前に先輩職員と一緒に動きながら習得できる環境は、未経験者やブランクがある方にとっても安心材料となるでしょう。

介護職の緊急時の対応マニュアルに関するよくある質問
介護現場では、いつ何が起こるかわからない「緊急時」に備えることが重要です。そこで以下では、「何を優先すべきか」「どんな手順で動けばよいか」といったよくある疑問や不安に対する答えをわかりやすく解説します。
緊急時の対応で大切なことは?
もっとも大切なのは「安全確保」と「迅速な連携」です。まずは利用者と周囲の安全を確保し、自身で判断せずに応援を呼ぶ・看護師や医師に連絡する・119番通報するという一連の流れを落ち着いて実施することが基本です。
状況の変化を正確に伝えられるように、観察や記録も重要になります。また、家族への連絡や事故報告書の作成も忘れてはならない対応の一部です。
介護施設のオンコールマニュアルとは?
オンコールマニュアルとは、夜間や看護師不在時などに備えて、緊急時に誰に・どのように連絡を取るかをまとめた手順書のことです。
例えば、「○○の症状が出た場合は、○○医師に連絡」「看護師に電話で報告」「家族にも○分以内に連絡」といった連絡基準が明示されており、介護職員が迷わず対応できるように作られています。
特に夜勤スタッフには必須の情報であり、日頃から読み込んでおくことが求められます。
介護スタッフは日頃から施設の緊急時マニュアルを確認しておこう
介護現場では、高齢者の体調が急変し、スタッフが緊急時対応を行う場面があります。場合によっては、大きな病気が隠れている可能性もあるため、冷静な判断が求められます。
人が急に倒れたり、大ケガをする場面に直面すると、パニックになってしまうこともあるでしょう。落ち着いて対応できるように、日頃から施設のマニュアルを確認しておくことが大事です。
また、施設内の職員間で研修を実施し、緊急時対応のスキルを高めておくことで、いざというときに冷静に対応にあたることができます。
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