【2024年】介護報酬改定のスケジュールはどうなっているの?告示までの流れや注目ポイントを解説

介護報酬は3年に1度改定されています。どのようなスケジュールなのか、どのような内容が決まるのか知りたい方も多いのではないでしょうか。

今回では、介護報酬改定のスケジュールを紹介します。

スケジュール毎に決まる内容も解説するので、介護報酬改定の全体像が理解できます。また2024年度に起きた診療報酬改定をする月の変更や処遇改善加算の一本化など、大きな変化がありました。

このような最新情報をキャッチアップすることも可能なので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

介護報酬改定のスケジュール

介護報酬改定のスケジュールは以下のとおりです。

  • 12月審議報告
  • 1月給付費分科会
  • 3月告示公布

2024年のスケジュールを参考に紹介していきます。

審議報告|12月

介護報酬改定は、厚生労働省の介護給付費分科会で新設する新加算の内容や見直す制度を話し合います。2024年度の場合、12月18日にその会議で決まった審議報告案が発表され、19日に完全版が提出されました。

今回の改定でポイントになったのは以下の4つです。

  • 地域包括ケアシステムの深化・推進
  • 自立支援・重度化防止に向けた対応
  • 良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
  • 制度の安定性・持続可能性の確保

看取りの強化やテレワークの推進など、地域連携・職場環境の改善を意識した新加算の見直しが行われました。

給付費分科会(諮問答申)|1月

1月には給付費分科会の有識者が集まり、諮問・答申が行われました。諮問・答申では、審議報告案で決まった内容に問題がないかを確認します。分科会での報告が終了した後は、社会保障審議会長に報告し答申が行われます。

告示公布|3月

4月から改定後のサービス提供を始めるため、3月までに最終的な報酬改定に伴うサービス内容の見直しや新加算が発表されます。2024年のスケジュールの流れは以下のとおりです。

事業所側は改定後にサービス提供がすぐにできるよう、対応や各種への届出を行わなくてはいけません。

請求ソフトを取り扱うベンダ側はノンストップで改修を進めなくてはいけない点も問題視されています。

2024年以降の介護・診療報酬改定の施行時期に関する議論

介護・診療報酬改定は複雑化しているため、以下のような議論が起きています。

  • 診療報酬改定は6月1日に施行される
  • 薬価報酬に関しては現状どおり4月1日

2024年以降のスケジュールが変化するので、ぜひ確認してみてください。

診療報酬改定は6月1日に施行される

診療報酬改定は4月に行われていましたが、2024年度以降からは6月1日に変更されます。今までの報酬改定のスケジュールでは、3月に告示され4月に施行、5月に初回請求となっていました。

これでは改定期間が2〜3ヵ月程度しかなく、電子カルテやレセプトコンピュータの改修作業への負担がかかります。

そのため2024年以降からは、診療報酬改定も介護と同様に6月1日から改定されることとなっています。

薬価報酬に関しては現状どおり4月1日

診療報酬のなかの1つである「薬価報酬」は現状どおり改定後も4月1日から始まります。薬価の改定時期を遅らせた場合、「薬価調査による価格把握が困難となり、改定スケジュール全体に悪影響が出てしまう」と懸念されました。そのため、薬価報酬は現状どおり4月1日に施行されます。なお、材料価格については診療報酬本体と同様に6月1日改定予定です。

2024年介護報酬改定による給与のへの影響は?

介護報酬の改定により、職員の待遇にどのような影響を受けるか気になる方もいるでしょう。

ここでは2024年の介護報酬改定の結果をもとに、職員への給与面に注目していきます。具体的には以下のとおりです。

  • 処遇改善加算が一本化される
  • 基本報酬が1.59%アップ

今回の介護報酬改定により、職員の給与は上がります。

処遇改善加算が一本化される

処遇改善加算は、2024年まで処遇改善加算と特定処遇改善加算、ベースアップ加算の3つで成り立っていましたが、今回の改定により一本化されます。処遇改善加算が一本化されることで加算率が引き上がります。

厚生労働省によると、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップを予定しているようです。

事業所側は新加算や見直しに対応できるよう、準備を進めていきましょう。

基本報酬は1.59%アップ

今回の介護報酬改定により、基本報酬が1.59%引き上がりました。

「NHK首都圏ナビ」によると、これは介護保険制度が始まってから2番目に高い引き上げ率です。

【過去20年間の介護報酬の推移】

2003年度: -2.3%
2006年度: -0.5%
2009年度:3.0%
2012年度:1.2%
2014年度:0.63%
2015年度: -2.27%
2017年度:1.14%
2018年度:0.54%
2019年度:2.13%
2021年度:0.70%
2024年度:1.59%

介護職の給与は介護報酬が原資なので、処遇改善につながります。

よくある質問

介護報酬改定に関するよくある質問は以下のとおりです。

  • 介護報酬はいつ改定されるの?
  • 事業所別に介護改定は変わるの?

それぞれ解説します。

介護報酬はいつ改定されるの?

介護報酬は3年に1度改定されます。介護保険制度の財源は、利用者負担が2〜3割、残りが1号・2号保険料と都道府県や市町村などの公費です。

保険者や利用者、サービス提供者といった社会情勢に影響する要素で成り立っています。そのため、高齢者の数が増えると、医療や福祉の需要が高まり保険料も上がります。

現役世代に大きな負担をかけてしまったり、利用者負担額が増加したりするのを避けるため、介護報酬は定期的に改定されて見直されているのです。

サービスによって介護報酬は変わるの?

介護報酬の単位は地域や物価、人件費によって差が生まれるのを防ぐため、各サービスにより単位数や加算の内容が変化します。すでに設定された単位数から算出されて介護報酬が決定されるのです。

また、サービス種別によっても取れる加算が変わります。自宅や学校から事業所へ送迎を行った場合に発生する「送迎加算」を例に取ります。送迎加算は、通所介護や放課後等デイサービスなど、送迎があるサービスが対象です。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設には送迎がないので、対象サービスには加わっていません。そのため、サービスによって申請できる加算要件が異なります。事業所によって介護報酬は変化する仕組みとなっています。

介護報酬改定のスケジュールは4月までに最終決定が行われる

介護報酬改定は、3月までに告示され、4月に最終決定が行われます。事業所側は4月までに対応できるよう準備する必要があります。なお、2024年以降は診療報酬改定が制度の都合上、4月から6月に変更されています。今後は今回決定したスケジュールで改定されるので、覚えておきましょう。

この記事を書いた人

山田亮太のアバター 山田亮太 介護福祉士

2016年から特別養護老人ホームに勤務。日常生活支援から身体介護を経験し、リーダー業務にも就く。2019年に介護福祉士を取得し、2020年に認知症実践者研修を修了。

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