【2024年版】デイサービスにおける介護報酬改定ポイントを解説

デイサービスにおける介護報酬改定で決まった内容が4月から始まり、不安を抱えている事業所も多いのではないでしょうか。文面がわかりにくいため、理解に苦しんでいる方もいるでしょう。

今回では、デイサービスにおける介護報酬改定の内容を紹介します。

基本報酬や算定要件を理解できるので、事業所の加算率や準備することが明確になります。

目次

【2024年改定】デイサービスの基本報酬

デイサービスの基本報酬の変更点は以下のとおりです。

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf

2〜5単位増加するので、通所介護の基本報酬はアップします。

通所介護における介護報酬改定のポイント

通所介護における介護報酬改定の変更ポイントを紹介します。

業務継続計画(BCP)未実施減算

業務継続計画(BCP)とは、自然災害や火災などの非常事態が発生した際にも事業を継続するための方法が記載されている計画書のことを指します。

通所介護においては、令和6年の3月まではBCPの作成が努力義務でしたが、令和6年4月以降からは完全に義務化されした。 BCPを作成していない場合、1%の減算が適用されます。

高齢者虐待防止措置の未実施減算

通所介護では令和6年3月以前まで高齢者虐待防止措置は努力義務でしたが、今回の改定で完全義務化となっています。
未実施の場合、1%の減算対象です。高齢者虐待防止措置を実施している基準は以下のとおりです。

  • 対策検討委員会の定期開催と職員への周知徹底
  • 虐待防止指針の整備
  • 虐待防止研修の定期実施
  • 虐待防止担当者配置

書面作成や研修が実施されているかがポイントです。

身体的拘束等の適正化の推進

通所介護における身体的拘束の指定基準や文言は、これまで存在していませんでした。 しかし、最近の改定により、「身体拘束の必要性が生じる可能性がある」という表現が掲載されることになりました。 身体拘束による減算は設けられておらず、運営基準への明記に留まっています。 身体拘束が認められる状況は以下の通りです。

  • 利用者または他の利用者等の生命または身体を保護するため緊急かつやむを得ない場合に限る
  • 身体的拘束等を行う場合には理由と実施状況を記録する

緊急性がある状況のみ身体拘束が認められますが、その場合は内容を記録する必要があります。

認知症加算の見直し

認知症加算とは、BPSDのような認知症行動を示す利用者に対して特別なケア体制を提供する事業所に設けられている加算のことを指します。

単位数は今まで通り1日60単位の据え置きですが、従業員に対する技術指導会議の定期開催が要件に追加されました。また、加算に算入できる認知症利用者の割合も緩和されています。 認知症加算を取得するためには、前年度または直近の3ヵ月間の利用者総数が20%必要でしたが、現在は15%以上となっています。

ADL維持等加算の見直し

通所介護のADL維持等加算の見直しとは、利用者のADL(日常生活動作)を6ヵ月ごとに評価し、その維持・改善の度合いによって算定される加算のことを指します。

現行のADL維持等加算区分ⅡのADL利得が平均2以上から3以上に変更されます。

入浴介助加算の見直し

入浴介助加算の加算区分Ⅰでは40単位、Ⅱでは55単位を算定することができます。 この単位数は変わらず、算定要件の追加と緩和が行われています。

まず、加算区分Ⅰ・Ⅱの両方において、入浴介助に関する研修を行うことが要件に追加されました。 加算区分Ⅱの要件では、利用者宅の浴室状況を確認する際には、医師や理学療法士、介護福祉士などの専門職が行うことが明記されています。

最近の改定により、専門職の訪問が困難な場合でも、一般の介護職員が利用者の居宅を訪問できるように要件が緩和されました。

個別機能訓練加算の人員配置要件の配置

通所介護における個別機能訓練加算とは、リハビリテーションの専門家を配置し、利用者ごとの個別機能訓練計画を策定・実施することで得られる加算のことを指します。

加算区分(Ⅰ)-ロでは、専従の理学療法士等を1名以上サービス提供時間に配置することで、85単位を取得することができます。 しかし、最近の改訂により、配置時間の定めが撤廃され、要件が緩和されました。 また、単位数も85単位から76単位へと変更されています。

豪雪地帯等において急な気象状況の悪化等があった場合の通所介護費等の所要時間の取扱いの明確化

通所介護サービスの利用時間に関する規定が柔軟化されました。 これまでは、体調不良などで利用時間が短くなった場合のみ、計画上の単位数が算定できました。

令和6年の報酬改定により、降雪等の気象状況が悪化し、通常よりも多くの送迎時間がかかった場合でも、計画上の単位数を算定できるようになりました。 サービス提供時間に影響を与える外部要因にも対応できるようにすることが目的です。

外国人介護人材の人員配置基準の見直し

経済連携協定(EPA)の介護福祉士候補者と技能実習生の配置基準が見直されることになりました。

改定前では、日本語能力検定試験N1・N2の合格者で勤務6ヵ月未満の方のみ人員基準に算入できましたが、その他の人材は、6ヵ月以上の勤務が必要でした。 しかし、今回の改定により要件が緩和され、本人の日本語能力や管理者の指導状況など、受け入れ施設側で判断できるようになりました。

日本語能力検定試験の合格の有無や勤続年数に関係なく、人員基準に算入が可能となったのです。

科学的介護推進体制(LIFE)加算の見直し

科学的介護推進体制(LIFE)とは、施設で実施しているケア計画や内容などを一定の様式で入力すると、厚生労働省からフィードバックが届く情報システムのことを指します。

LIFE加算に算入するには、入力を6ヵ月に1回行う必要がありましたが、改定後からは3ヵ月に1回となりました。 また、科学的介護推進体制(LIFE)加算で必要な利用者のサービス開始月や計画策定時などを入力するタイミングが他のLIFE関連加算のタイミングと異なっていました。

事務作業の煩雑さが懸念されていましたが、今回の改訂により初回のデータ提出時期は他のLIFE関連加算と揃えられるようになりました。

送迎に係る取扱いの明確化

利用者の送迎に関する報酬は基本報酬に組み込まれています。 そのため、利用者が自ら通所したり家族が送迎したりする場合、片道47単位の減算となります。

また、送迎は原則として利用者宅から事業所間ですが、近隣の親戚宅から通うのも算定要件に組み込まれました。 さらに、他の介護事業所や障がい福祉事業サービス事業所の利用者の同乗も算入対象となります。

今後は、親戚宅からの通所や他事業所の利用者を送迎する可能性があります。

テレワーク(在宅勤務)でも人員基準算定可

個人情報を適切に管理できることが前提であれば、テレワークも人員基準に算定できます。 職場環境の改善や業務負担の軽減が目的とされています。

生活相談員の業務をテレワークで対応する施設が増える可能性があります。

過疎地域への対応

離島や中山間地域にある過疎地域においては、以下の3つの加算が算定されます。

  • 特別地域加算
  • 中山間地域等の小規模事業所加算
  • 中山間地域に居住する者へのサービス提供加算

過疎地域と認められるには、厚生労働省が定めた以下の要件に適合する必要があります。

  • 離島振興法
  • 山村振興法
  • 特定農山法
  • 過疎地域自立促進特別措置法

しかし、上記の要件では曖昧で当てはまらない過疎地域も存在していました。 そこで、今回の改定では、さらに過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条 第二項により公示された過疎地域も含まれることが明文化されました。 加算を受けられる過疎地域が増えるでしょう。

デイサービスの基本報酬は高くなる

デイサービスの基本報酬で最も引き上げられるのは通常規模型です。 地域密着型や認知症対応型施設のような、小規模なほど引き上げが少ない特徴があります。 経営実態調査によると、小規模事業所の方が利益率が高いという結果が出ています。 そのため、小規模事業所の基本報酬の引き上げが低くなっています。 通常規模型に勤めている方は、大幅に増収が見込めるでしょう。

この記事を書いた人

山田亮太のアバター 山田亮太 介護福祉士

2016年から特別養護老人ホームに勤務。日常生活支援から身体介護を経験し、リーダー業務にも就く。2019年に介護福祉士を取得し、2020年に認知症実践者研修を修了。

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