【2024年4月改定】通所リハビリテーションにおける介護報酬改定の変更ポイント

2024年4月に介護報酬改定が行われました。通所リハビリテーションにおける介護報酬も大きな変更があり話題を呼んでいます。

今回では、通所リハビリテーションの介護報酬改定後の変更点を紹介します。

ぜひ今後の事業運営に役立ててみてください。

目次

通所リハビリにおける介護報酬改定の変更点

通所リハビリテーションにおける介護報酬改定の変更点を紹介します。

基本報酬

通所リハビリテーションにおける介護報酬改定の変更点を紹介します。

通所リハビリテーションの基本報酬は以下のとおりです。

【改定後】

通常規模型(7時間以上8時間未満)
要介護1:762単位
要介護2:903単位
要介護3:1,046単位
要介護4:1,215単位
要介護5:1,379単位

大規模型Ⅰ(7時間以上8時間未満)
要介護1:714単位
要介護2:847単位
要介護3:983単位
要介護4:1140単位
要介護5:1300単位

大規模型Ⅱ(7時間以上8時間未満)
要介護1:714単位
要介護2:847単位
要介護3:983単位
要介護4:1140単位
要介護5:1300単位

基本報酬は通常規模型、大規模型(Ⅰ)、大規模型(Ⅱ)の3段階となっていました。しかし今回の改定で区分が解消され、通常規模型と大規模型の2段階に変更されています。

大規模型のうち、以下の要件をすべて満たした事業所では通常規模型と同等の評価を行います。

  • リハビリマネージメント加算の算定率が利用者全体の80%を超えていること
  • 利用者に対するリハビリ専門職の配置が10:1以上であること

上記の条件を満たした場合、加算率は以下のように変更されます。

通所リハの基本報酬(大規模型Ⅰ)

要介護度1
現状:734単位
条件を満たした場合:762単位
→増減+28

要介護度2
現状:868単位
条件を満たした場合:903単位
→増減+35

要介護度3
現状:1006単位
条件を満たした場合:1046単位
→増減+40

要介護度4
現状:1166単位
条件を満たした場合:1215単位
増減+49

要介護度5
現状:1325単位
条件を満たした場合:1379単位
→増減+54

通所リハの基本報酬(大規模型Ⅱ)

要介護度1
現状:708単位
条件を満たした場合:762単位
→増減+54

要介護度2
現状:841単位
条件を満たした場合:903単位
→増減+62

要介護度3
現状:973単位
条件を満たした場合:1046単位
→増減+73

要介護度4
現状:1129単位
条件を満たした場合:1215単位
→増減+86

要介護度5
現状:1282単位
条件を満たした場合:1379単位
→増減+97

大規模事業所は条件を満たすことで、大幅の増収を得られます。

豪雪地帯等において急な気象状況の悪化等があった場合の通所介護費等の所要時間の取扱いの明確化

豪雪地帯などでは、積雪やその他の天候不良により送迎に時間がかかり、サービス提供時間が短くなるケースがあります。 この場合、以前は計画上の単位数より少ない算定で請求しなければなりませんでした。

改定後は急な気象状況の悪化によるやむを得ない事態であれば、計画上の単位数を算定できるようになります。

所要時間の取扱いは豪雪地帯に限らず、全国的に適用されます。

機能訓練事業所の共生型サービス基準該当サービスの提供の拡充

障害者自立訓練事業所は全国で約403カ所しか存在しませんが、サービスの拡充を推進するため、通所リハビリテーションでも機能訓練が提供可能になります。

医療機関のリハビリテーション計画書の受け取りの義務化

利用者が訪問リハビリテーションを行う際には、リハビリテーション計画書が必要となります。

退院後に施設で迅速に対応するため、通所リハビリテーション事業所は医療機関からリハビリテーション計画書の受け取りが義務付けられています。

退院時共同指導加算

退院時共同指導加算は、退院後の早期対応を行うことで加算される内容です。 訪問リハビリ事業所の理学療法士が医療機関の退院前カンファレンスに参加する場合のみ対象となります。

訪問看護事業所のリハビリ職がカンファレンスに参加する場合は対象となりません。

単位数は600単位と大きな数字で、事業所にとっては増収につながります。

リハ、口腔、栄養の一体的取組の推進

リハビリや口腔・栄養を一体的に推進するため、新たにリハビリテーションマネージメント加算(ハ)(以下:リハマネ加算)が設けられます。

具体的な単位数は以下のとおりです。

リハマネ加算(ハ)(新設)

同意月から6ヵ月以内:793単位/月
同意月から6ヵ月超え:473単位/月
※医師が利用者・家族に説明することで、上記に加えて270単位加算される

リハマネ加算を取得するには以下の要件を満たす必要があります。

  • リハマネ加算(ロ)の要件を満たしている
  • 事業所の従業者または外部連携により管理栄養士を1名以上配置
  • 利用者ごとに他職種が今日どうして栄養及び口腔アセスメント実施
  • 利用者ごとに、言語聴覚士、歯科衛生士または看護職員が他の職種と今日どうして高級状態を評価し、解決すべき課題把握を行っている
  • 利用者ごとに関係職種が通所リハ計画の内容の情報等や、利用者の口腔状態及び栄養状態に関する情報を相互共有
  • 共有した情報を踏まえ、必要に応じて通所リハ計画を見直し
  • 当該見直しの内容を関係職種に対して情報提供していること

リハマネ加算(ロ)を取得するには栄養アセスメントを作成し、チームでの情報共有することが求められています。定期的な会議の開催と記録の記載をする必要があります。

リハ・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的計画書の見直し

リハビリや栄養管理に関する取り組みを推進するため、各計画書の記載内容も見直されます。 施設で実施しているケア計画書の様式は、2024年4月以降、新しい様式に変更する必要があります。

関連職種の相互連携が容易になるため、効果的かつ統一した自立支援・重度化予防のケアの提供が期待できます。

訪問及び通所リハビリテーションの皆し指定の見直し

訪問リハビリステーションを拡充するため、介護老人保健施設や介護医療院を開設する際には、訪問リハビリステーション事業所の指定を受けることが求められます。

介護老人保健施設や介護医療院が訪問リハビリステーションとして指定を受けるためには、常勤医師が専従で1人配置されていることが基準となります。

介護予防におけるリハの質の質の向上に向けた評価

利用者が通所リハビリテーションや介護予防通所リハビリテーションの利用を開始し、1年経過した場合の減算が拡大されます。

3ヵ月に1回のリハビリテーション会議やLIFE(科学的介護推進体制)へのデータ提出、フィードバックを受けていれば減算は行われません。

利用者に提供するリハビリの質を向上させるためにも、事業所は厚生労働省からのフィードバックをもとに計画書を改善していく必要があります。

ケアプラン作成に係る主治医の明確化

訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションをケアプランに組み入れる場合、主治医の指示が必要です。

2024年の改定では、より迅速な対応を可能にするため、入院中の医療機関の医師も対象に含まれるようになりました。

入浴介助加算(Ⅱ)の見直し

入浴介助加算(Ⅱ)の要件である「医師等による利用者宅浴室の環境・評価・助言」が緩和されます。

改定前は利用者宅の浴室状況を確認する際、医師や理学療法士、介護福祉士などの専門職が直接訪問しなければなりませんでした。 しかし、今回の改定により、一般の介護職員が利用者居宅へ訪問しても算定対象となります。介護職員が利用者宅へ訪問する場合、ICT機器を活用して医師や理学療法士などが状況把握を行います。

科学的介護推進体制加算の見直し

科学的介護推進体制(LIFE)とは、施設で実施しているケア計画や内容などを一定の様式で入力できる情報システムのことです。

LIFEを入力すると、厚生労働省からフィードバックが届くため、前回の内容と比較することができます。 LIFE加算に算入するには、6ヵ月に1回データを提出する必要がありましたが、改定後からは3ヵ月に1回となります。 また、利用者のサービス開始月や計画策定時など、入力するタイミングが異なるため、事務作業が煩雑になることも懸念されていました。

今回の改定により、初回のデータ提出時期は他のLIFE関連加算と揃えることが可能となります。

加算の廃止

以下の加算は廃止、変更されます。

  • 運動器機能向上加算 → 基本報酬へ包括化
  • 事業所評価加算 → 廃止
  • 選択的サービス複数実施加算 → 一体的サービス提供加算に変更

一体的サービス提供加算は、栄養改善サービス及び口腔機能向上サービスを実施した場合のみ、算定が可能になります。

過疎地域への対応

離島や中山間地域にある過疎地域においては、以下の3つの加算が算定されます。

  • 特別地域加算
  • 中山間地域等の小規模事業所加算
  • 中山間地域に居住する者へのサービス提供加算

過疎地域に定められるのは厚生労働省により、以下の要件が定められた地域を指します。

  • 離島振興法
  • 山村振興法
  • 特定農山法
  • 過疎地域自立促進特別措置法

しかし上記の法律では過疎地域の定義が曖昧で、介護サービスの提供が困難な地域もありました。そこで今回の改定では、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条 第二項により公示された過疎地域も含まれると明文化されます。

送迎に係る取扱いの明確化

利用者の送迎に関する報酬は基本報酬に組み込まれているため、利用者が自ら通所する場合や家族が送迎をする場合、片道47単位が減算されます。 また、送迎は原則として利用者宅から事業所間ですが、近隣の親戚宅から通うのも算定要件に組み込まれました。

他の介護事業所や障がい福祉事業サービス事業所の利用者も同乗するケースが発生します。

通所リハビリテーションの算定率は大きく変わった

以前までは、通所リハビリテーションの報酬体系は大規模ほど単位数が低めでした。 しかし、今回の改定により、規模が大きな事業所が高い報酬を算定できるようになります。 今後この流れは加速すると考えられているため、規模の大きい事業所は高い算定を得られるでしょう。 小規模事業所には厳しい状況が続く可能性があるため、体制の改善を常に意識しておく必要があります。

この記事を書いた人

山田亮太のアバター 山田亮太 介護福祉士

2016年から特別養護老人ホームに勤務。日常生活支援から身体介護を経験し、リーダー業務にも就く。2019年に介護福祉士を取得し、2020年に認知症実践者研修を修了。

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